診療内容
診療科目:泌尿器科
泌尿器科について
腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎、精巣(睾丸)など、尿と性器に関わる疾患を対象とします。
排尿トラブル(尿が出にくい、尿が近い、尿漏れ、残尿感があるなど)、尿検査で血尿を指摘された、尿に血が混じる、尿路結石と言われた、睾丸が腫れてきたなど、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
対象となる主な疾患
過活動膀胱
尿意切迫感(急に我慢できないような尿意)を主な症状として、これに頻尿や尿失禁を伴う疾患です。40歳以上の男女のおよそ8人に1人に過活動膀胱の症状があり、高齢になるほど割合は増えます。「歳のせい」とあきらめず、ひとりで悩まずにご相談ください。
尿失禁
意思に反した尿漏れで、このために社会的・衛生的に日常生活に支障をきたします。切迫性尿失禁(急に尿をしたくなり、トイレまで我慢できずに漏れる)、腹圧性尿失禁(くしゃみやせきをした時に漏れる)、機能性尿失禁、溢流性尿失禁などのタイプに分けられ、それぞれ治療法が異なります。
前立腺肥大症
男性に特有の臓器である前立腺(男性の膀胱の近くにあって尿道を取り囲んでいる腺組織)が肥大して尿道を圧迫したり、前立腺の筋肉が過剰に収縮して尿道が圧迫されることにより、様々な排尿障害の原因となります。前立腺肥大症の症状は具体的に次の7つがあげられます。
①排尿後、まだ尿が残っている感じがする(残尿感)
②トイレが近い(頻尿)
③尿が途中で途切れる(尿線途絶)
④急に、尿意をもよおし、もれそうで我慢できない(尿意切迫感)
⑤尿の勢いが弱い(尿勢低下)
⑥おなかに力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)
⑦夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
神経因性膀胱
排尿をコントロールする脳、脊髄、末梢神経の障害によって、膀胱の蓄尿・排尿機能に異常が生じた状態のことをいいます。脳:脳梗塞、脳出血、パーキンソン病、多発性硬化症など。脊髄:脊髄損傷、椎間板ヘルニアなど。末梢神経:糖尿病による神経障害、直腸がん・子宮がんなど骨盤内手術の後遺症など。
膀胱炎
急性膀胱炎は膀胱粘膜に生じた細菌感染症のことをいいます。女性に多く、通常は尿道からの上行感染により生じます。排尿時痛、下腹部痛、排尿時違和感、頻尿、残尿感、血尿などの膀胱症状が主で、基本的には発熱などの全身症状は少ないです。尿検査で原因菌をつきとめ、それに応じた抗菌薬を服用します。慢性膀胱炎はなんらかの病気がもとにあり、それが原因で膀胱内に炎症が起こります。下腹部の不快感、頻尿、残尿感ですが、自覚症状は軽度で無症状のこともあります。
腎盂腎炎
腎臓に細菌感染が起こったもので、発熱や腰背部の痛み、吐き気や嘔吐がみられます。症状がひどい場合は入院して点滴が必要になることもあります。
尿道炎
おもに性交渉で淋菌やクラミジアなどの病原微生物に感染し、尿道内に炎症を起こします。排尿時の痛みや、尿道から膿が出たりします。原因菌をつきとめ、抗菌薬で治療をします。
前立腺炎
前立腺に生じた炎症のことをいいます。細菌感染による急性前立腺炎や、会陰部(前立腺)の違和感・不快感が持続する慢性前立腺炎があります。急性前立腺炎では発熱と排尿時痛や頻尿の症状が出ます。
精巣上体炎
細菌などの感染により精巣上体で炎症が起こった状態です。陰嚢内の腫大と圧痛および初滅を認めます。
尿路結石症(腎臓結石 尿管結石 膀胱結石)
尿成分の一部が析出・結晶化し、尿路内(腎・尿管・膀胱・尿道)で形成された石様の構造物を尿路結石といいます。部位により血尿や痛みの原因となることがあり、時に激しく痛み(腰背部や下腹部)、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。細菌感染を合併すると発熱を伴います。
間質性膀胱炎
細菌の感染が原因ではなく膀胱に炎症が起きる病気です。原因ははっきり解明されておらず、他の病気(過活動膀胱や心因性のトラブル)と診断されてしまうことも少なくありません。尿がたまった時(蓄尿時)の下腹部の痛みが特徴ですが、頻尿・尿意切迫感を伴うこともあります。
腎臓がん
腎臓に生じる悪性腫瘍で、初期の段階ではほとんど症状はありません。最近では健診などで行われたCTやエコー検査で発見されることが多くなっています。
膀胱がん 腎盂尿管がん
膀胱がんは、膀胱に生じる悪性腫瘍(尿路上皮がん)で、症状のない血尿で見つかることが多いです。喫煙や、化学物質(ベンジジン、ナフチルアミンなど)が発症のリスクとなります。尿路上皮がんは膀胱だけでなく、同じ尿路上皮をもつ腎盂や尿管にも生じます。
前立腺がん
前立腺に生じる悪性腫瘍で、食生活の欧米化や加齢、男性ホルモンの影響があると言われています。50歳以上に好発し、初期では無症状で、血液検査でPSA(前立腺特異抗原)の数値が高いことから発見されるケースが増えています。
精巣腫瘍
睾丸(精巣)に生じる腫瘍で、20-30代の男性に好発し、9割以上が悪性腫瘍です。痛みの無い睾丸の腫れに気づいたらすぐに泌尿器科を受診してください。
尿道狭窄
尿道の一部が狭くなった状態をいい、尿の排泄がスムーズにいかず排尿困難などの症状をきたすことがあります。尿道炎の後遺症であったり、経尿道的手術などが原因となることがあります。
陰嚢水腫
陰嚢内のスペースに液体が貯留した状態をいいます。小児と成人では原因および治療の内容が異なります。
亀頭包皮炎
亀頭や包皮に細菌などが感染することによって起こります。亀頭部分や包皮の皮膚が赤くなり、腫れたりします。お子様では排尿時の痛みを訴えることがあります。
夜尿症
幼児期の夜尿を「おねしょ」と称し、幼児期を過ぎて5~6歳以後になっても夜間睡眠中に無意識に排尿することを夜尿症と言います。小学校入学前後になっても夜尿が続くような場合は、生活指導やお薬による治療などで積極的に対策を講じたほうが良いケースもあります。時に尿道や膀胱、腎臓の器質的異常が見つかることがあります。
蛋白尿
蛋白尿の原因としては、病気を伴わない生理的なものから、急性腎炎や慢性腎炎などの腎臓に限局した病気と、糖尿病、膠原病、高血圧など全身の病気の一部として腎臓に障害が起きる場合があります。原因によって治療法が異なりますので、正確な診断が必要になります。
LOH症候群(男性更年期障害)
最近疲れやすい、イライラする、活気がない、性欲減退 などの症状は加齢に伴う男性ホルモン低下が原因の場合があります。更年期障害といえば女性のことと思われがちですが、実は男性にも更年期障害があります。男性ホルモンであるテストステロンの低下が影響しています。
テストステロンが低下することで、性欲減退やEDだけではなく、うつ症状、筋肉痛などが更年期障害の症状としてでることもあります。また二次的に心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇するとも言われています。
治療は前立腺癌などがないことを確認の上、男性ホルモン補充療法となり、2~4週に一回の筋肉注射による男性ホルモン補充療法を行います。あとは漢方薬を内服することで症状が改善する場合もあります。治療は通常保険診療で行うことができますが、場合によっては保険適応外となる時もあります。
当院でできる検査
- 尿検査 尿蛋白,尿糖,尿潜血の有無などを調べます。顕微鏡で実際に尿に含まれる赤血球や白血球、細菌などを観察する尿沈渣も行います。
- 血液検査 貧血や炎症の有無、肝機能や腎機能、前立腺癌の腫瘍マーカー(PSA)を検査します。
- 超音波検査 主に腎臓・膀胱・前立腺の形態を観察します。腎臓・尿管・膀胱結石、腎臓・膀胱がん、前立腺肥大症等、多くの疾患の診断が可能です。
- レントゲン検査 主に、尿路(腎・尿管・膀胱)結石の診断のため使用します。
- 膀胱鏡検査
内視鏡で尿道や膀胱の内部を観察します。柔らかいファイバースコープなので、痛みはほとんど有りません。エコー検査では発見できないような非常に小さな病変でも発見することができます。
膀胱がんや膀胱結石、尿道狭窄等の診断に使用します。 - 尿流量測定検査 トイレで普段通り排尿するだけで、尿の勢いなどが簡単に測定できます。